ストレス社会で生きる現代人が用心すべき事|心身症への理解を深める

女性
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心と密接に関わる身体疾患

ドクターたち

身体表現性障害との違い

心と身体は密接に結びついており、心の不調がさまざまな体調不良となって現れることも珍しくありません。精神的ストレスは多くの身体疾患の原因にもなります。中にはそうした身体症状を訴えながら、内科や外科で検査を受けても異常が見つからないケースもあります。心に原因があってそのような身体症状が発生する場合は、身体表現性障害として精神科や心療内科での治療が必要となるのです。一方では検査で異常が見つかるような身体疾患でも、精神面のストレスが深く関わっている例は少なくありません。例えば胃潰瘍や神経性胃炎などは胃の粘膜に潰瘍や炎症が生じていますが、発症には精神的なストレスが強く影響しているものです。過敏性腸症候群は腸に器質的な異常が認められませんが、腸の運動に機能異常が生じています。こうした消化器系の病気は内科治療の対象となる反面、心の領域からの治療も望まれるという点では心身症に属します。そのような例は消化器系の病気だけに限りません。片頭痛や高血圧・狭心症などのケースでも、精神的ストレスを原因とする場合は対処療法だけでは十分でないものです。アレルギー性鼻炎や気管支喘息・アトピー性皮膚炎といったアレルギー症状でも、同じような事情があります。自己免疫疾患の関節リウマチなども含め、心理社会的要因が発症に深く関わっている場合は心身症と位置づけられるのです。こうした病気を診断する際には、病名欄に括弧をつけて心身症と付記されます。通常は内科治療で症状が改善しますが、心身症が付記されている場合は身体表現性障害同様に心の治療も不可欠です。心身症の治療には一般内科よりも、心療内科の方が適しているのです。

カウンセリングを重視する

一般内科で以上のような病気を治療する場合は、あくまでも薬による対処療法が大半です。頭痛や腹痛・アレルギー症状などは薬で症状を和らげることもできますが、根本的な原因は解決されません。その点で心療内科は薬による症状改善ばかりでなく、心の領域からの根本治療を目指しています。心理療法としてのカウンセリングを重視する点で一般内科と大きく異るのです。心身症に該当する身体疾患には前述の通り数多くの種類があります。それぞれ対処療法は違いますが、発症プロセスに精神的ストレスが深く関わっている点では共通項も見られます。心療内科で実施する心理療法は、カウンセラーとの共同作業でこの心理的原因を解決していく治療法です。多くの場合はストレス因子を取り除くだけでも症状改善につながります。認知行動療法を通して発症原因に対する認識を深め、身体疾患の治癒に至った患者さんもいます。こうした日常生活の工夫でストレスを軽減させていけば、薬で症状が改善した後も再発予防が期待できます。対処療法だけでは、薬をやめたとたんに症状がぶり返す可能性があるのです。その意味で心療内科の実施する心理療法は、薬による内科治療や手術などの外科治療に続く第3の治療法と言えます。従来の内科では多くの心身症治療において、こうした心の観点からの対処が十分ではありませんでした。最近ではカウンセリングを重視する心療内科も増えており、薬による内科治療に飽き足りない患者さんの支持を集めています。心の病気ばかりでなく、場合によっては身体の病気でも精神医学が役に立ちます。心が軽くなれば体も軽くなり、病気になりにくい健康な体へと生まれ変わることも可能なのです。